生誕110年 芹沢硑介展

名古屋、栄の松坂屋美術館で今日から「生誕110年 芹沢硑介展」が始まりました。芹沢ファンの自分は、もちろん初日に行ってきました。これまでも静岡市立芹沢硑介美術館や岡崎での展覧会など、芹沢作品が展示される展覧会はできる限り見てきましたが、今回の展示は、そのなかでも最も大規模なものでした。型染めの着物や反物、暖簾、本の装丁、マッチ箱、灯篭などなど、ホント涙モノの展覧会でした。もしかしたら、年明け2日目にして、今年のNo.1の展覧会を見てしまったかも?
 芹沢硑介について簡単に紹介すると、1895(明治28)に静岡の呉服商家に生まれ、東京高等工業学校(現東京工業大学)図案科を卒業、漆器や木工、染色などの多分野で図案の才能を発揮した人物です。とりわけ染色の評価は高く、1956(昭和31)には人間国宝に認定されました。そのモチーフは、師である柳宗悦民芸運動の生みの親)の影響もあり「民具」や「動物」「文字(ひらがな、漢字)」が多くを占めます。また、琉球アイヌ、世界各地の物質文化資料(作品)のコレクターとしても有名です。芹沢の全仕事は『芹沢硑介全集 第1巻〜第31巻』中央公論社(1980-1983)で見ることができます。また今回の展覧会図録の巻末に立派な関連文献目録が付いています。
 ウンチクはこれくらいにして、ホントにこの展覧会はオススメです。芹沢の展示は、染色なら染色とジャンルを絞っておこなわれることが多いなかで、この展覧会は彼の仕事のほぼ全ジャンルを網羅しています。デザインやアートに興味がある人は、きっと多くのインスピレーションを得ることでしょう(しかも、栄で見られる!)。あえて挑発させてもらえば、芹沢を知らない日本人デザイナーは「エセ・デザイナー」と断言していいです。ポップだ、モダンだ、ミッドセンチュリーだ、北欧デザインだ、って喜んでいるオシャレさんもイームズに座ってコーヒー飲んでる場合じゃないっすよ!
名古屋での展覧会は1月23日まで。急げ!バーゲンの帰りで良いですから

http://www.matsuzakaya.co.jp/museum/serizawa/index.shtml
http://www.tfu.ac.jp/kogeikan/j/index.html
http://www.seribi.jp/